2024第3回学長文学歴史サロン
第3回(9月1日)
①レクチャー「元禄文化と阪神地域」
学長 田辺眞人
動画リンク⇒文学歴史サロン2024「元禄文化と阪神地域」序章
江戸開幕から家康・秀忠・家光と三代つづいた「武断政治」全国300諸侯のうち200ほどの藩がとりつぶされ40万人近くの浪人を生んだ。1651年「慶安事件」はそんな時代に起きた反乱である。そんな幕府も5代綱吉の時代には、新田開発による増収による経済発展とともに幕藩体制の安定期を迎え、幕府や諸大名は学問を奨励し「文治政治」へと転換していく、このころ日本の識字率も高まり、貴族や武士の見ならず庶民も文学・文芸にふれる機会が高まるともに美術・工芸においても特色ある文化(時代)を生んだ「元禄文化(時代)」である。
②講談『怪談 吉備津の釜』 ハイライト
講談師 旭堂 一海
動画リンク⇒◇第3回文学歴史サロン 「怪談 吉備津の釜」ハイライト
雨月物語は、元禄時代から少し時代が下る1768~76年、上田秋成によって著わされた読本(よみほん)作品で、日本・中国の古典から脱化した怪異小説9篇から成っています。
「吉備津の釜」はその1篇です。
あるところに正太郎という色欲の強い男がいました。父の言うことも聞かずに遊び歩いていたので、嫁を迎えれば落ち着くだろうと縁談がまとめられます。婚姻の前に吉凶を占う神事、御釜祓いをすると凶という結果が出てしまいます。
しかしもう縁談は進んでいた為、そのまま婚姻する事に。
嫁に来た磯良はよく出来た女性で、非の打ち所がありませんでした。しかし時が経つにつれて正太郎はまた愛人をつくり、家に帰らなくなります。挙句の果てには磯良を騙して金を奪い、愛人の袖と駆け落ちする始末。磯良は心労で体調を崩してしまいます。
駆け落ちした正太郎でしたが、袖は何かに取り憑かれたように体調もおかしくなり、数日後に死んでしまいました。正太郎はひどく悲しみ、毎日墓参りします。
そんなある日、墓に女が居ました。話を聞くと仕える家の主人が死んでしまって、伏せてしまった奥方の代わりに来ているとのこと。その女が美人だったこともあり、家まで行って奥方と悲しみを分かち合いに行くことになります。家に行ってみると、屏風の奥から現れたのはなんと磯良でした。血の気もなく恐ろしい姿をしていたので、正太郎は気絶してしまいます。
ふと気づくと、正太郎は三昧堂に居ました。その出来事を知人に話すと、陰陽師を紹介されます。陰陽師は「災いがすぐそこまで迫っている。こやつは袖という女の命も奪っているが、まだ恨みは晴れていない。四十九日が終わるまでの間、戸締まりをして一歩も外に出るな」と言います。
正太郎もこの言いつけを守り、その最後の日。夜が明けたので外に出てみると、実は妖術でまだ夜だったのです。
声がしたので知人が見に行くとあたりは血だらけで、そこには正太郎の引きちぎられた男髷があるだけという恐ろしい光景でした。
陰陽師の占いの的中したこと、御釜祓いの示した凶兆もまさにそのとおりになったのは恐るべきことだと語り伝えられています。
③対談『怪談話の主人公』
旭堂 一海/田辺眞人
動画リンク⇒◇第3回文学歴史サロン 対談 「怪談話の主人公』
レクチャー「元禄文化と阪神地域」 資料